【サラリーマン奮闘記】第4話「手柄泥棒」

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入社3年目の後輩・ショウは、ここ数週間ずっと新規プロジェクトの企画書づくりに取り組んでいた。昼間は通常業務をこなし、夜は会議室に残って資料を作る日々。市場調査、競合分析、収益シミュレーションまで細かくまとめたその企画書は、まさにショウの努力の結晶だった。

そんなショウの姿を見ていたのが先輩のタケルである。
タケルは仕事終わりに何度も相談に乗り、企画の構成を整理し、プレゼン資料の見せ方までアドバイスした。

「ここは数字をグラフにした方が伝わるな」
「このアイデア、かなり面白いと思う」

二人で何度も修正を重ね、ようやく完成した企画書。
ショウは緊張しながらも、ついにそれを斎藤課長へ提出する。

しかし、その瞬間だった。

「ほう……新規プロジェクトの企画書か」

斎藤課長はそれを手に取ると、当然のように言った。

「俺が最終チェックして、部長に通しておいてやる」

そして意味ありげに付け加える。

「ありがたく思えよ」

嫌な予感はしていた。

そして数日後。
その予感は現実になる。

全体会議の場で、壇上に立っていたのは――斎藤課長だった。

スクリーンには「新規プロジェクト企画書」のタイトル。
その内容は、どう見てもショウの企画書そのものだった。

斎藤は胸を張って語る。

「今回のプロジェクトは、私、斎藤が長年の経験を元に考案しました」

会議室の後ろで、ショウは唇を強く噛む。
タケルも拳を握りしめる。

さらに斎藤は得意げに言う。

「俺の若い頃はな、上司の手柄は部下の喜びだったもんだ!」

完全な開き直りだった。

スライドは順調に進む。
市場分析、利益予測、実行スケジュール。

しかし――

プレゼンがクライマックスに差しかかり、斎藤が誇らしげに叫ぶ。

「以上が、私の提案です!」

最後のスライドが表示された瞬間。

会議室の空気が凍りついた。

スクリーン中央に、巨大な赤文字が表示されていた。

『※本資料は、入社3年目・ショウが作成し、タケルが監修した【草案】です。
課長、フィードバックをお願いします!』

会議室が静まり返る。

「あ、あれ……?」

斎藤課長の顔がみるみる青くなる。

「な、なんだこれは……!」

その時、社長がゆっくりと口を開いた。

「なるほど」

「ショウ君とタケル君の企画というわけだ」

そして微笑みながら言う。

「素晴らしい出来だ」

少し間を置いて、続けた。

「……で、斎藤君」

「君の“フィードバック”はどこにあるんだね?」

斎藤課長は完全に言葉を失った。
中身を確認すらしていなかったことが、完全に露呈してしまったのだ。

会議終了後。
ショウとタケルは廊下で顔を見合わせる。

そして、小さくガッツポーズを交わした。

タケルは心の中でつぶやく。

(……中身を見てないの、バレバレですよ)

こうして“手柄泥棒”は、
自分の手柄で自爆するという見事な結末を迎えたのだった。