オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第9話
世間は記録的な物価高。
コンビニの弁当も、ランチの定食も、気づけば以前より値段が上がっている。
その影響は、当然ながら父の財布にも直撃していた。
昼休み、財布の中身を見つめながら父はつぶやく。
「最近……昼飯が厳しいな……」
コンビニのおにぎりすら贅沢に感じるほど、父のランチ事情は逼迫していた。
このままでは、まともな昼食すら食べられない。
そこで父は、ついに決断する。
家庭内財務大臣――娘・優子に直談判することを。
その日の夜。
父はテーブルに手をつき、深々と頭を下げた。
「頼む!
せめて月5,000円のベースアップを!」
父にとっては、まさに“補正予算案”の提出だった。
しかし優子は冷静にタブレットを開く。
「審議に入ります。」
父は一瞬希望を抱く。
だが、それは甘い考えだった。
優子は突然、レシートを取り出す。
「先週の火曜日。
コンビニの挽きたてコーヒーを買っていますね。」
父は一瞬言葉を失う。
「え……?」
さらに追及は続く。
「水筒を持参すれば0円です。
これは明らかな贅沢。」
父は慌てて弁解する。
「いや、あれは会議前で眠くて……!」
だが財務大臣の判断は揺るがない。
「無駄遣いが発覚したため、
増額どころか懲罰処分とします。」
父の顔が青ざめる。
「えっ……?」
そして優子は冷静に宣言した。
「来月から**マイナス10%**です。」
父は思わず叫ぶ。
「減るの!? 逆効果!?」
こうして父の補正予算案はあっさり否決され、
むしろ厳しい財政再建が始まることになった。
数日後――。
昼休みの公園。
ベンチに座った父は、水筒の水を静かに飲んでいた。
周囲ではキッチンカーの美味しそうな匂い。
ランチを楽しむ人たちの笑い声。
その足元には、数羽の鳩が集まっていた。
父はぼんやりと鳩を見つめながら、ぽつりとつぶやく。
「……鳩は……タダで豆が食えていいな……(涙)」
こうして父はまた一つ、
家庭内の厳しい財政事情とヒエラルキーを思い知らされるのだった。
今日もまたこの家では、
父のささやかな願いが、静かに査定されているのである。


