【フリーター奮闘記】第7話 『スーパー学生バイト』

オリジナルマンガ

ある日のコンビニ。
マサシの働く深夜シフトに、新しく大学生の新人アルバイト・健太が入ってきた。

まだ二十歳そこそこ、礼儀正しく爽やかな青年だ。
店長に紹介された健太は、少し緊張した様子で頭を下げた。

「今日からよろしくお願いします!」

その姿を見たマサシは、どこか余裕のある表情で腕を組む。

(フッ……新人か)

コンビニ歴一年半。
それなりに場数を踏んできた自負があるマサシにとって、ここは先輩として威厳を見せるチャンスだった。

「いいか健太」

マサシは少し偉そうに語り始める。

「レジ打ちっていうのはな、ただバーコードを通す作業じゃない」

「リズムなんだよ」

「客の呼吸を読む。流れを感じる。精神を統一する」

まるで武道の心得のような精神論を語るマサシ。

健太は素直に頷く。

「は、はい!勉強になります!」

マサシは満足そうに頷いた。
しかし――

いざ実際のレジ業務が始まると、状況は思わぬ方向に進んでいく。

「ピッ、ピッ、ピッ、ピッ」

健太のレジは驚くほどスムーズだった。

商品をスキャンする手の動きは正確で速い。
袋詰めも無駄がなく、客の待ち時間はほとんどない。

「早いねお兄さん!」

客からもそんな声が上がる。

マサシは横でそれを見ながら、少しだけ焦る。

(……あれ?)

健太はさらに、マニュアルまで完璧に覚えていた。

商品の配置、キャンペーンの内容、レジ操作の細かい手順。
どれもすでに頭に入っている。

そしてある時、健太がふと口を開く。

「マサシさん」

「この補充作業なんですけど、マニュアルだとこっちの順番の方が30秒くらい短縮できるみたいです」

にこやかに言いながら、正論を突きつけてくる。

「ぐぬぬ……」

マサシの心に、小さな衝撃が走る。

――正論パンチ。

反論できない。
なぜなら、その通りだからだ。

その日の仕事終わり。

部屋に帰ったマサシは、ビールを飲みながらぼんやり考えていた。

健太の顔が頭に浮かぶ。

店長の言葉も思い出す。

「健太くん、覚えるの早いねぇ!」

「優秀だなぁ!」

マサシはビールを一口飲み、つぶやく。

「……フッ」

「あいつは効率だけのロボットだ」

「俺には“人間味”ってものがある」

そう自分を慰めるマサシ。

しかし店長の評価はどう見ても――

健太 > マサシ

だった。

静かな部屋の中で、マサシは天井を見つめながら小さくつぶやく。

「……人間味って」

「評価に入るのかな…」

その答えは、まだ誰にも分からなかった。