オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ |テツヤの成り上がり|第8話
【前回のあらすじ】
面接を終えたテツヤは、結果を待つ数日間を落ち着かない気持ちで過ごしていた。
そして届いた結果は、不採用。
しかし、以前とは違い、「やった上での結果」として受け止めることができた。面接を振り返り、反省点を書き出し、「次はどうするか」を考えられるようになったテツヤは、不採用であっても立ち止まることなく、新たな求人へ応募する。
結果ではなく、成長を積み重ねることを覚え始めたテツヤ。その姿勢が、少しずつ未来を動かし始めていた。
【今回の見どころ】
今回のテーマは「努力が報われる瞬間」です。
何度も失敗を経験しながらも、考え、準備し、挑戦を続けてきたテツヤ。その努力が初めて「二次面接」という形で結果につながります。まだゴールではありませんが、「やれば結果は返ってくる」という実感を得ることで、テツヤの心に新しい自信が芽生え始めます。
【本文】
再び応募してからの数日間。
テツヤの生活は相変わらずだった。
昼は工場。
夜はコンビニ。
だが、心の中はこれまでとは明らかに違っていた。
(……今度はどうだろうな)
期待と不安が、同時に存在している。
前回は「どうせダメだ」と思っていた。
でも今回は違う。
「やれることはやった」という感覚があるからこそ、結果を待つ時間が妙に落ち着かない。
ある日の夜。
コンビニの休憩中、スマホが震えた。
見慣れない番号。
一瞬で分かる。
(……来た)
喉が乾く。
少し迷ったあと、通話ボタンを押す。
「もしもし」
声が少しだけ低くなる。
「〇〇株式会社の採用担当です」
その瞬間、周囲の音が遠くなる。
「先日の面接の件ですが――」
心臓が強く鳴る。
「ぜひ、次の選考に進んでいただきたいと考えております」
一瞬、言葉の意味が理解できなかった。
「……え?」
思わず聞き返す。
「二次面接のご案内をさせていただきます」
その言葉で、ようやく理解する。
(……通った)
頭の中で、何度もその言葉が反響する。
「……はい、ありがとうございます」
自分でも驚くほど、声が震えていた。
通話を終えたあと、しばらくその場に立ち尽くす。
何も変わっていないはずの休憩室。
でも、すべてが違って見えた。
(通った……)
たった一つの結果。
それだけで、ここまで感情が動くとは思っていなかった。
「……マジか」
小さくつぶやく。
胸の奥が熱くなる。
嬉しさと、少しの不安。
「ここからだろ」という現実も同時に押し寄せてくる。
その日の帰り道。
夜の街が、いつもより明るく感じた。
特別なことは何もない。
でも、足取りが少し軽い。
(……やれば、いけるのかもしれないな)
そんな考えが、自然と浮かぶ。
アパートに戻ると、テツヤはすぐにノートを開いた。
今までと同じように、書き出す。
「今回よかったこと」
「次に向けてやること」
だが、今回は少し違う。
反省だけではない。
「通った理由」も考える。
(何がよかったんだ?)
正解は分からない。
でも、自分なりに考える。
ちゃんと準備したこと。
自分の言葉で話したこと。
少なくとも、前とは違う自分だった。
「……これ、続けるしかないな」
自然とそう思う。
スマホを見つめる。
さっきの通話履歴が残っている。
それを見て、少しだけ笑う。
(ここまで来たんだな)
たった一歩。
でも、確実に前に進んでいる。
ベッドに座り、天井を見上げる。
部屋は相変わらず散らかっている。
生活もまだ何も変わっていない。
それでも――
「結果が出た」という事実は、テツヤの中で大きかった。
「……悪くないな」
静かにそうつぶやく。
完全な成功ではない。
まだ途中だ。
でも、「やれば結果が返ってくる」という感覚を、初めて掴んだ。
それは、これまでの自分にはなかったものだった。
夜は静かに更けていく。
明日もまた、工場とコンビニの一日が始まる。
それでも――
テツヤの中には、確かに変化があった。
「次も、やる」
その言葉には、もう迷いはなかった。
【作者コメント】
第8話で描きたかったのは、「努力が初めて形になる喜び」です。
テツヤはこれまで何度も失敗し、思うような結果を得られませんでした。しかし今回は、自分で考え、準備し、挑戦したことが「二次面接へ進む」という目に見える成果につながりました。
もちろん、まだ最終的な成功ではありません。それでも、この小さな成功体験は、テツヤにとって大きな意味を持っています。「頑張れば結果につながることもある」という実感は、人を前へ進ませる大きな力になります。
ただ、人生は順調なことばかりではありません。喜びのあとには、再び壁が立ちはだかることもあります。
この第8話は、テツヤが初めて自信を手に入れる回であると同時に、次なる試練へ向かうための大切な通過点でもあります。ここから先、テツヤはさらに大きな挫折や新しい出会いを経験しながら、自分だけの道を見つけていくことになります。


