オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ |テツヤの成り上がり|第7話
【前回のあらすじ】
「ちゃんと考える」ということを覚えたテツヤは、自分なりの基準で求人を選び、前回とは違う気持ちで面接へ臨んだ。
完璧ではなかった。それでも、自分で考えた言葉を自分の口で伝えることができた。「何もできなかった前回」とは違う手応えを感じ、結果以上に「やれば少しずつ変われるかもしれない」という小さな自信を手に入れる。
しかし、本当の試練は、その先に待っていた。
【今回の見どころ】
今回のテーマは「結果よりも成長」です。
面接の結果は不採用。しかし、以前のテツヤとは違い、その結果を受け止め、次へ進もうとする姿が描かれます。失敗を終わりではなく経験として積み重ねることで、少しずつ前向きな考え方を身につけていくテツヤの変化に注目してください。
【本文】
面接を終えてからの数日間は、妙に長く感じた。
やることは変わらない。
昼は工場、夜はコンビニ。
それでも、頭のどこかに常に残っている。
(……どうなったんだろうな)
スマホを何度も確認する。
通知が来ていないか、無意味に画面を開く回数が増えていた。
以前なら、「どうせダメだろ」と決めつけていた。
だから、ここまで気にすることもなかった。
でも今回は違う。
「ちゃんとやった」という実感があるからこそ、結果が気になる。
ある日の夕方。
工場の休憩中、スマホが震えた。
画面には、あの会社の名前。
一瞬、呼吸が止まる。
(……来た)
指先が少し震える。
周りの音が遠くなる。
機械の音も、人の声も、何も入ってこない。
ゆっくりと通知を開く。
「選考結果のご連絡」
その文字だけで、心臓が強く鳴る。
深く息を吸う。
そして、画面をタップした。
――結果は、不採用だった。
「……そっか」
思ったよりも、声は落ち着いていた。
ショックがないわけではない。
でも、前回とは明らかに違う。
あの時のような「何もできなかった悔しさ」ではない。
今回は、「やった上での結果」だった。
しばらく画面を見つめたまま、動けなかった。
やがて、もう一度メールを読み返す。
そこには、短い一文が添えられていた。
「今回はご縁がありませんでしたが、選考過程において誠実にご対応いただき、ありがとうございました。」
どこにでもある文章。
それでも、少しだけ救われる気がした。
(……ちゃんと見てもらえてたんだな)
ほんの少しだけ、報われた気がした。
スマホを閉じ、顔を上げる。
工場の天井は相変わらず無機質だ。
でも、前とは違って見えた。
「……よし」
小さくつぶやく。
落ち込んでいないわけではない。
悔しさもある。
でも、それ以上に感じていたのは、
「まだやれる」という感覚だった。
帰り道。
いつもの街を歩く。
以前なら、不採用は「終わり」だった。
「やっぱり無理だ」と、そこで止まっていた。
でも今は違う。
(……次、どうするか)
自然と、その考えが浮かぶ。
アパートに戻ると、テツヤはすぐにノートを開いた。
今回の面接を振り返る。
良かったところ。
詰まったところ。
うまく言えなかった部分。
一つ一つ書き出していく。
(ここ、もっとちゃんと話せたな)
(ここは準備不足だった)
反省点はある。
でも、それは「次につながるもの」だった。
「……悪くなかったな」
小さく笑う。
不採用だったのに、どこか前向きだった。
スマホを開き、再び求人サイトを見る。
今度は迷いが少ない。
前回よりも、自分の軸が少しだけ見えている。
(……次、行くか)
自然と指が動く。
応募ボタンを押す。
前とは違う。
これは「やけ」でも「逃げ」でもない。
ただ、「続けている」という感覚だった。
スマホを置き、背もたれに体を預ける。
天井を見上げる。
何も変わっていない。
部屋も、生活も、現状も。
それでも、テツヤの中では確実に変わっていた。
不採用だった。
でも、止まらなかった。
それだけで十分だった。
「……まあ、悪くないな」
静かにつぶやく。
この一歩は小さい。
でも、確実に前に進んでいる。
テツヤは目を閉じる。
次は、どうなるか分からない。
それでも――
「やれば、変わるかもしれない」
その感覚だけは、もう消えていなかった。
【作者コメント】
第7話で描きたかったのは、「失敗を受け止める強さ」です。
以前のテツヤなら、不採用という結果を理由に挑戦そのものを諦めていたかもしれません。しかし今回は、結果だけを見るのではなく、「自分は何ができたのか」「次は何を改善できるのか」を考えられるようになりました。
人生では、努力しても思い通りの結果が出ないことがあります。それでも、その経験を振り返り、次につなげようとする姿勢こそが、人を成長させるのだと思います。
この第7話は、テツヤが「結果に振り回される人」から、「結果を糧に前へ進む人」へと変わり始めた節目の回です。
そして、この前向きな変化が、次回訪れる新たな出会い――佐藤との運命的な出会いへとつながっていきます。ここから物語は、新しいステージへ進んでいきます。


