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【フリーター奮闘記】テツヤ成り上がり|第3話|やってみたけど、うまくいかない

フリーター奮闘記【テツヤの物語編】

【前回のあらすじ】

大学時代の同級生との再会をきっかけに、自分の現状と向き合うことになったテツヤ。同窓会では、それぞれが自分の道を歩んでいる姿を目の当たりにし、自分だけが立ち止まっているような感覚を覚える。

楽しいだけでは終われなかった時間。しかし、逃げずにその場へ足を運んだことで、「このままでいいのか」と初めて自分自身へ問いかけるようになった。

答えはまだ見つからない。それでも、考えることから逃げなくなったテツヤは、小さな一歩を踏み出そうとしていた。

【今回の見どころ】

今回のテーマは「失敗する勇気」です。

変わりたいという思いから転職活動を始めたテツヤ。しかし、準備不足のまま挑んだ面接は思うようにいきません。それでも、「やって失敗した」という経験が、何もしなかった昨日の自分との大きな違いになります。挫折の中から見えてくる、本当のスタート地点に注目してください。

【本文】

同窓会のあとから、テツヤの中に小さな違和感が残り続けていた。

これまでと同じ生活のはずなのに、どこか落ち着かない。

工場で作業をしていても、コンビニでレジを打っていても、ふとした瞬間に思い出す。

「このままでいいのか?」

あの時、ミサキに言われた言葉が頭から離れなかった。

――来ないんじゃなくて、自分で行こうとしてないだけじゃない?

正直、図星だった。

テツヤは考えるのが苦手だった。

いや、正確には「考えても何も変わらない」と思い込んでいた。

だから、考えないようにしてきた。

でも、あの日を境に、それが少しだけ崩れた。

ある日の夜。

コンビニの休憩中、スマホで「未経験 転職」と検索する。

いくつもの求人が出てくる。

営業、IT、施工管理、配送……。

どれもピンと来ない。

でも、何も見ないよりはマシだと思った。

(……とりあえず、応募してみるか)

軽い気持ちだった。

深く考えたわけではない。

「行動した」という事実が欲しかっただけかもしれない。

いくつかの求人にエントリーする。

履歴書も、適当に埋めた。

自分でも分かっている。

本気じゃないことくらい。

それでも、何もしないよりはマシだと、自分に言い聞かせた。

数日後。

一件、面接の連絡が来る。

「……来た」

思わず声が漏れる。

嬉しいというより、少しだけ怖かった。

面接当日。

借り物のようなスーツを着て、駅前のビルへ向かう。

エレベーターの中で、自分の姿を鏡越しに見る。

(……似合ってねぇな)

ぎこちない。

会議室に通され、面接が始まる。

「志望動機を教えてください」

一番シンプルで、一番困る質問。

テツヤは一瞬止まる。

「……えっと」

言葉が出てこない。

準備していなかった。

いや、できなかった。

何がやりたいのか分からないから。

「……新しいことに挑戦したくて」

自分でも薄いと分かる言葉を口にする。

面接官の表情は変わらない。

でも、空気が少しだけ冷えた気がした。

「具体的には?」

追い打ちのような質問。

詰まる。

頭の中が真っ白になる。

結局、曖昧なまま面接は終わった。

帰り道。

ビルを出た瞬間、どっと疲れが押し寄せる。

「……ダメだな、これ」

すぐに分かった。

結果を待つまでもない。

数日後、不採用の連絡が届く。

特にショックはなかった。

予想通りだったから。

でも、どこかで期待していた自分もいた。

(やっぱり、無理か……)

スマホを閉じる。

部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。

天井を見ながら、考える。

(何がダメだったんだろ)

答えは分かっている。

何も考えていなかったこと。

何も決めていなかったこと。

ただ「変わりたい」と思っていただけで、

「どう変わるか」は何もなかった。

「……そりゃ無理か」

小さく笑う。

情けなさと、少しの悔しさ。

でも同時に、どこかでホッとしている自分もいる。

「やっぱり俺には無理だ」と言い訳できるから。

その感情に気づいたとき、テツヤは少しだけ顔をしかめた。

(……ダサいな)

初めて、自分で自分をそう思った。

逃げていることに、気づいてしまったから。

スマホを手に取り、求人サイトを開く。

親指が止まる。

(……もうやめるか?)

一瞬、そう思う。

楽な方に戻るのは簡単だ。

何も考えず、今まで通り生きるだけ。

でも――

ミサキの言葉がまた浮かぶ。

そして、面接で何も答えられなかった自分の姿も。

テツヤはゆっくりと息を吐く。

「……もう一回だけ、やるか」

小さな声でつぶやく。

本気とは言えない。

でも、前より少しだけ違う。

次は、ちゃんと考えてみようと思った。

何がしたいのか。

何ができるのか。

すぐに答えは出ない。

でも、「考えることから逃げない」ことだけは、決めた。

夜の部屋は相変わらず散らかっている。

何も変わっていない。

それでも、テツヤの中では、ほんの少しだけ何かが変わり始めていた。

失敗した。

でも、初めて「やって失敗した」。

それは、何もしなかった昨日より、ほんの少しだけ前に進んでいる証だった。

【作者コメント】

第3話で描きたかったのは、「失敗は前進の証でもある」ということです。

初めて行動を起こしたテツヤは、面接で何も答えられず、不採用という結果を迎えます。決して成功とは言えません。しかし、この経験によって、自分に足りなかったものや、本当に向き合うべき課題が見えてきました。

何もしなければ傷つくことはありません。でも、それでは何も変わりません。行動したからこそ失敗があり、その失敗が次の成長につながっていきます。

「やって失敗した」という経験は、「何もしなかった」日々よりも確実に前へ進んでいます。

この小さな挫折が、やがてテツヤを新しい出会いと挑戦へ導いていきます。ここから始まる成長の物語を、ぜひ最後まで見届けていただければ嬉しいです。同窓会のあとから、テツヤの中に小さな違和感が残り続けていた。

これまでと同じ生活のはずなのに、どこか落ち着かない。
工場で作業をしていても、コンビニでレジを打っていても、ふとした瞬間に思い出す。

「このままでいいのか?」

あの時、ミサキに言われた言葉が頭から離れなかった。

――来ないんじゃなくて、自分で行こうとしてないだけじゃない?

正直、図星だった。

テツヤは考えるのが苦手だった。
いや、正確には「考えても何も変わらない」と思い込んでいた。

だから、考えないようにしてきた。

でも、あの日を境に、それが少しだけ崩れた。

ある日の夜。
コンビニの休憩中、スマホで「未経験 転職」と検索する。

いくつもの求人が出てくる。
営業、IT、施工管理、配送……。

どれもピンと来ない。
でも、何も見ないよりはマシだと思った。

(……とりあえず、応募してみるか)

軽い気持ちだった。
深く考えたわけではない。

「行動した」という事実が欲しかっただけかもしれない。

いくつかの求人にエントリーする。
履歴書も、適当に埋めた。

自分でも分かっている。
本気じゃないことくらい。

それでも、何もしないよりはマシだと、自分に言い聞かせた。

数日後。
一件、面接の連絡が来る。

「……来た」

思わず声が漏れる。

嬉しいというより、少しだけ怖かった。

面接当日。
借り物のようなスーツを着て、駅前のビルへ向かう。

エレベーターの中で、自分の姿を鏡越しに見る。

(……似合ってねぇな)

ぎこちない。

会議室に通され、面接が始まる。

「志望動機を教えてください」

一番シンプルで、一番困る質問。

テツヤは一瞬止まる。

「……えっと」

言葉が出てこない。

準備していなかった。
いや、できなかった。

何がやりたいのか分からないから。

「……新しいことに挑戦したくて」

自分でも薄いと分かる言葉を口にする。

面接官の表情は変わらない。
でも、空気が少しだけ冷えた気がした。

「具体的には?」

追い打ちのような質問。

詰まる。

頭の中が真っ白になる。

結局、曖昧なまま面接は終わった。

帰り道。
ビルを出た瞬間、どっと疲れが押し寄せる。

「……ダメだな、これ」

すぐに分かった。

結果を待つまでもない。

数日後、不採用の連絡が届く。

特にショックはなかった。
予想通りだったから。

でも、どこかで期待していた自分もいた。

(やっぱり、無理か……)

スマホを閉じる。

部屋に戻り、ベッドに倒れ込む。

天井を見ながら、考える。

(何がダメだったんだろ)

答えは分かっている。

何も考えていなかったこと。
何も決めていなかったこと。

ただ「変わりたい」と思っていただけで、
「どう変わるか」は何もなかった。

「……そりゃ無理か」

小さく笑う。

情けなさと、少しの悔しさ。

でも同時に、どこかでホッとしている自分もいる。

「やっぱり俺には無理だ」と言い訳できるから。

その感情に気づいたとき、テツヤは少しだけ顔をしかめた。

(……ダサいな)

初めて、自分で自分をそう思った。

逃げていることに、気づいてしまったから。

スマホを手に取り、求人サイトを開く。

親指が止まる。

(……もうやめるか?)

一瞬、そう思う。

楽な方に戻るのは簡単だ。

何も考えず、今まで通り生きるだけ。

でも――

ミサキの言葉がまた浮かぶ。

そして、面接で何も答えられなかった自分の姿も。

テツヤはゆっくりと息を吐く。

「……もう一回だけ、やるか」

小さな声でつぶやく。

本気とは言えない。
でも、前より少しだけ違う。

次は、ちゃんと考えてみようと思った。

何がしたいのか。
何ができるのか。

すぐに答えは出ない。

でも、「考えることから逃げない」ことだけは、決めた。

夜の部屋は相変わらず散らかっている。
何も変わっていない。

それでも、テツヤの中では、ほんの少しだけ何かが変わり始めていた。

失敗した。
でも、初めて「やって失敗した」。

それは、何もしなかった昨日より、ほんの少しだけ前に進んでいる証だった。