オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ 第24話
ある日、マサシはスマホの記事を読みながら深く頷いていました。
記事のタイトルは――
「これからはAIに仕事を任せる時代」
そこにはこう書かれています。
・AIは人間より速く判断できる
・AIは膨大な知識を持つ
・人間は“思考を外注”すべき
それを読んだマサシの目が光りました。
「そうか……」
「今日から俺は、一切の思考を放棄する」
「すべての判断をAIに委ねる」
マサシは新しい生き方を宣言します。
「これは脳のメモリを節約する“思考ハック”だ」
その日から、マサシはスマートイヤホンを装着し、AIの音声アシスタントに逐一判断を仰ぐ生活を始めました。
コンビニのシフト中も例外ではありません。
マサシはレジの前でスマホに小声で話しかけます。
「AI、次にやるべき最適行動を教えてくれ」
イヤホンから返答が流れます。
「承知しました。業務効率を最適化します」
その様子を見た店員は呆れ顔。
「……それ、ただ自分で考えるのが面倒くさいだけだろ」
しかしマサシは自信満々です。
「違う」
「これは“思考のアウトソーシング”だ」
やがてマサシのAI依存はさらに進みます。
ある日、弁当を温めようとしたときのこと。
マサシは弁当を手に取り、AIへ質問します。
「500W指定の弁当を1500Wの業務用レンジで温める場合の最適時間を計算してくれ」
横で見ていた店員が叫びます。
「書いてある通りに温めろ!」
「計算するな!」
しかしマサシはAIの回答を待っています。
完全にAIの指示でしか動けない人間になっていました。
そんなある日、常連客が疲れた様子で店に入ってきます。
「何か……徹夜明けに効く栄養ドリンクあるかな……」
ただそれだけの質問でした。
しかしマサシはイヤホンに小声で聞きます。
「AI、最適回答を」
イヤホンから音声が流れます。
マサシはそれを感情のない声でそのまま復唱しました。
「徹夜は労働基準法違反の可能性があります」
「直ちに労働基準監督署へ相談し、弁護士の手配を推奨します」
常連客は固まりました。
「えっ……?」
「いや……そこまで大事じゃ……」
完全にパニックです。
それを見ていた店員が叫びます。
「お客様の人生のコンサルまでAIにやらせるな!!」
そしてスリッパで――
スパーン!
マサシの後頭部を叩きました。
マサシは床に崩れ落ちます。
しかしそのままスマホに向かって言いました。
「……AI」
「今の物理攻撃に対する慰謝料の相場を教えてくれ」
こうしてマサシは最後まで、
自分の頭で考えることを完全に放棄し続けるのでした。


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