オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ 第30話
【今回の見どころ】
今回のテーマは、「成功者の習慣を真似したはずが、いつもの自分に戻ってしまう」という、多くの人が経験したことのある”朝活あるある”です。
「世界のトップエリートは朝5時に起きている。」
そんな記事を読んだマサシは、
「俺も明日から成功者だ!」
と、いつものように即行動。
奇跡的に5時ちょうどに起き、白湯を飲み、本を開き、
「今の俺のクリエイティビティは最高潮だ!」
と、完璧なスタートを切ります。
ところが、その勢いはわずか15分で終了。
「睡眠不足はパフォーマンスの敵」
という、これまた正しい知識を見つけると、
「これはサボりじゃない。戦略的休息だ。」
と、自分を見事に納得させてしまいます。
そして始まる”プレ・パワーナップ”。
……のはずが、目を覚ませば11時。
「朝活15分、二度寝5時間45分」
という冷酷な記録に思わず笑ってしまいます。
最後の
「午後から本気出す」
という締めの一言まで含めて、多くの人が一度は心の中でつぶやいたことがあるのではないでしょうか。
「成功者の習慣」だけを取り入れたつもりが、自分に都合のいい理屈ばかり採用してしまう――。
そんな人間らしい弱さを、コミカルに描いた一話です。
【本文】
深夜。ベッドの上でスマホをいじりながら、いつものようにネットの海を漂っていたマサシは、ある記事に目を奪われる。
「世界のトップエリートは、例外なく朝5時に起きている――」
「朝の静寂こそが、人生を変える“ゴールデンタイム”だ」
その瞬間、マサシの中でスイッチが入る。
「……来たな」
例によって“前向き変換モード”が発動する。
「俺はこれまで、夜に無駄な時間を過ごしていた……だが違う。成功者は朝を制する。つまり、俺も明日から“上の世界”に行けるということだ」
そう確信したマサシは、即座にスマホのアラームを5時に設定。
「明日の俺は、生まれ変わる」
力強く宣言し、そのまま眠りについた。
――翌朝。
奇跡的に、アラーム一発で目が覚める。
時計は5:00ちょうど。
「……勝った」
ゆっくりと起き上がり、カーテンを開ける。
朝日が差し込み、部屋を柔らかく照らす。
「これが……成功者の景色か」
キッチンで白湯を用意し、湯気を見つめながら一口。
「完璧だ……」
机に向かい、本を開く。
「まだ世界が眠っているこの時間……ノイズは一切ない」
「今の俺のクリエイティビティは……最高潮だ」
だが、その“最高の状態”は長くは続かなかった。
時計は5:15。
ふと、ある思考が頭をよぎる。
「……待てよ」
「睡眠不足は、パフォーマンスの最大の敵では?」
急に理性的な顔になるマサシ。
「トップ企業は“パワーナップ”を推奨している……」
「ここで一度、脳を回復させれば……その後の効率は爆発的に上がるはずだ」
論理は完璧だった。
「これはサボりじゃない……戦略的休息だ」
そう言い切ると、迷いなく布団へ戻る。
アラームは――かけない。
「短時間なら問題ない……むしろ必要だ……」
そのまま、再び眠りへ。
――次に目が覚めたとき。
部屋はすでに明るく、空気も完全に“昼”だった。
「……あれ?」
時計を見る。
11:00。
一瞬、思考が止まる。
「……いや、これは……」
スマホを手に取り、睡眠アプリを確認。
そこに表示されていたのは、無慈悲な記録。
――本日の朝活時間:15分
――パワーナップ延長時間:5時間45分
――結果:通常の休日より遅く起床
「……増えてるじゃねぇか……」
膝から崩れ落ちるマサシ。
完璧なはずだった朝活は、わずか15分で終了していた。
「……違う……これは失敗じゃない」
必死に言い訳を探す。
「長時間睡眠は……脳の完全回復……」
「つまり……俺は今、万全の状態……!」
だが、その体はどこか重い。
そして気づけば、スマホはすでに動画アプリを開いていた。
「……午後から本気出す」
その言葉を残し、再びベッドへ倒れ込むマサシ。
こうして彼の“究極の朝活”は――
開始15分で終了し、過去最長の二度寝へと進化したのだった。
【作者コメント】
朝活は、本当に素晴らしい習慣だと思います。
実際に朝早く起きることで集中できたり、一日を有効に使えたりする人も多いでしょう。
ただ、その一方で、
「成功者がやっているから、自分もやれば成功するはず」
と、形だけを真似してしまうことも少なくありません。
今回のマサシは、まさにそんなタイプです。
5時に起きることには成功したものの、その後に見つけた「パワーナップ」という知識を、自分に都合よく解釈してしまいます。
本来は15〜20分程度の短い仮眠が目的なのに、気付けば5時間45分。
それでも最後まで
「これは失敗じゃない」
と言い張る姿は、どこか笑えて、どこか応援したくもなります。
私自身も、「明日から早起きしよう」と決意した翌日に、アラームを止めて二度寝した経験があります。
だからこそ、この作品は決してマサシだけの話ではありません。
大切なのは、一度で完璧を目指すことではなく、自分に合ったペースで続けること。
もしこの作品を読んで、
「朝活しようと思って二度寝したことがある」
「午後から本気出す、と何度も思ったことがある」
そんな方がいたら、ぜひ笑いながら読んでいただけたら嬉しいです。


