オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第6話
【今回の見どころ】
今回のテーマは、「父に“一番風呂”という選択肢は存在しない。」です。
仕事を早く終え、「今日は一番風呂だ!」と小さな幸せを楽しみに帰宅した父。しかし、そのささやかな夢は、娘・優子のたった一言であっさり打ち砕かれます。
「却下します。」
その瞬間の父の表情は、まさに今回最大の見どころ。
「お母さんと私は半身浴でデトックス。お父さんは最後です。」
あまりにも自然に告げられる”家庭内ルール”に、父は反論する間もありません。
さらに追い打ちをかけるのが、
「汚染防止です。」
という衝撃の理由。
「俺はそんなに汚れているのか……?」
父の心が静かに折れていく様子は、多くのお父さんが思わず共感してしまう場面ではないでしょうか。
そして後半の見どころは、ひたすら待ち続ける父の姿。
時計を眺めながら、
「女風呂はなんでこんなに長いんだ……」
とぼやく姿には、家庭ならではの”あるある”が詰まっています。
ようやく入浴できたと思ったら、待っていたのは
「追い焚きは禁止です。」
という節約ルール。
湯船に肩まで浸かった父が、小さく
「……ぬるい……(涙)」
とつぶやくラストは、笑いと少しの切なさが同居する、このシリーズらしい締めくくりになっています。
【本文】
仕事を終え、いつもより少し早く帰宅した父。
疲れた体を伸ばしながら、心の中で密かに決めていた。
「今日は早帰りだ!
久々に一番風呂を頂くとしよう!」
一日の疲れをゆっくり湯船で癒やす――
それは父にとって、ささやかながらも大切な贅沢だった。
タオルを肩にかけ、上機嫌で浴室へ向かう父。
しかし、その扉の前に立った瞬間――
目の前には、腕を組んだ娘・優子が立っていた。
「却下します。」
あまりにも冷たい一言に、父は思わず固まる。
「え……?」
優子は淡々と説明する。
「お母さんと私はこれから半身浴でデトックスの時間です。
お父さんはその後、最後です。」
父は思わず声を上げる。
「な、なんだって!?
今日は俺が一番風呂のはずだろ!」
しかし優子はまったく動じない。
「我が家のルールです。」
どうやらこの家には、父の知らない鉄の掟が存在していたらしい。
それは――
美容と健康を最優先にするための“女性優先制度”。
さらにもう一つの理由があった。
「“汚染防止”です。」
その言葉に、父は大きくショックを受ける。
「お、俺はそんなに汚れているのか……?」
だがルールは絶対。
父はリビングのソファで、ただひたすら順番を待つしかなかった。
時計の針は進み、
30分……
1時間……
さらに時間は過ぎていく。
「……女風呂はなんでこんなに長いんだ……」
疲れた体でソファに沈み込みながら、父はぼんやり天井を見上げる。
そしてようやく、浴室のドアが開いた。
「どうぞ。」
その言葉に、父は急いで浴室へ向かう。
だが、湯船に入った瞬間――
「……ぬるい……」
追い焚きは禁止。
節約のため、残り湯の温もりを感じてください――
それが優子の最後の一言だった。
湯船の中で肩をすぼめながら、父は静かにつぶやく。
「……ぬるい……(涙)」
こうして父はまた一つ、
家庭内の厳しいルールと現実を思い知らされるのであった。
だがこれは、父と娘の終わりなき家庭内攻防のほんの一幕に過ぎない。
今日もまたこの家では、
父の小さな願いが静かに試されているのである。
【作者コメント】
今回は、多くの家庭で一度は経験がありそうな「お風呂の順番問題」をテーマに描きました。
仕事で疲れて帰宅した父にとって、一番風呂はほんの少しの贅沢です。
しかし家庭には、それぞれ独自のルールがあります。
美容、健康、節約、家族の生活リズム……。
どれも間違ってはいないからこそ、父は強く反論できません。
本作では少し誇張して描いていますが、「今日は最後ね」と言われて、気づけばぬるくなったお風呂に入るお父さんは、決して珍しい存在ではないのかもしれません。
父は家族に文句を言うわけでもなく、静かに待ち、静かに受け入れます。
その姿は少し不憫ですが、どこか微笑ましくもあります。
『不屈な父親奮闘記』では、そんな家庭の何気ない出来事を、笑いに変えながら描いています。
大きな事件は起きなくても、家庭には毎日のように”小さな試練”があります。
それでも父は今日も家族を大切に思い、小さく肩をすぼめながら、ぬるくなったお風呂に浸かるのでした。
次回も、全国のお父さんが「あるある!」と思わず笑ってしまうような家庭の日常をお届けできれば嬉しいです。


