オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ 第25話
【今回の見どころ】
今回のテーマは、「リモートワークを履き違えた男」です。
「時代はリモートワーク。」
そんな言葉に感化されたマサシは、自宅から”アバター接客”という前代未聞の働き方を始めます。
しかし、そのアバターは最新ロボットではなく、段ボールと台車、タブレットを組み合わせただけの手作り感満載の装置。
しかも画面の向こうでは、本人がベッドで寝転がってポテチを食べているという、開始早々からツッコミどころ満載です。
接客が始まると、
「商品のスキャンと袋詰めは、お客様自身でお願いします。」
「俺は画面越しに全力で見守ります。」
と堂々と宣言。
これに対する
「それ、ただの態度のデカいセルフレジだろ!」
というツッコミが、この作品を象徴する名シーンになっています。
さらに、お客様がタバコを注文すると、
「棚から取ってお客様へ。俺はリモートでマネジメントに回る。」
と、現場の仕事をすべて同僚へ丸投げ。
“効率化”を掲げながら、実際には何もしていないマサシの姿が笑いを誘います。
そして最後は、怒った同僚にタブレットを伏せられ、
「通信エラー……これはリモート労災だ……」
と言い出す始末。
開始30分でシステム終了というテンポの良いオチまで含め、最初から最後までマサシらしさ全開の一話になっています。
【本文】
「時代はリモートワークだ。今日から俺は自宅から“アバター接客”でシフトに入る」
出勤してきたタケシが目にしたのは、レジカウンターの横に置かれた奇妙な装置だった。
台車の上にダンボールを積み上げ、その先端にタブレット端末が固定されている。さらに横からは掃除機のホースのような“腕”まで生えており、どう見ても手作り感満載のロボットだ。
そしてタブレット画面には、ベッドの上で寝転がりながらポテチを食べているマサシの姿。
「おはよう。今日から俺は遠隔勤務だから」
「……いや、お前の家ここから徒歩3分だろ」
タケシの冷静なツッコミにも、マサシはどこ吹く風だ。
「これからの時代は効率化だ。俺は“頭脳労働”担当。物理作業は現場スタッフがやればいい」
完全に意味不明である。
そこへ、常連客が弁当を持ってレジにやってくる。
ふくよかな体型に普通の太さの眉毛、どこにでもいそうな会社員だが、この店では妙に存在感がある人物だ。
常連客はタブレットを見て目を丸くする。
「……あれ?レジ係は?」
すると画面越しのマサシが自信満々に答える。
「いらっしゃいませ。商品のスキャンと袋詰めはお客様自身でお願いします。俺は画面越しに全力で見守ります」
「それただの態度のデカいセルフレジだろ!!」
同僚の店員のツッコミが店内に響く。
さらに常連客がレジ裏の商品を指差す。
「あの……後ろの棚のタバコ、一つ欲しいんだけど」
マサシは画面越しに顎をさすりながら言った。
「棚から取ってお客様へ。俺はリモートでマネジメントに回るから」
「お前それただの丸投げだろ!」
同僚の店員の額に青筋が浮かぶ。
マサシはさらに続ける。
「現場を信頼して任せるのもリーダーの仕事なんだ」
「お前は家で寝転がってるだけだろ!!」
ついに堪忍袋の緒が切れた同僚の店員。
彼はレジ台車の上に置かれたタブレットをひったくる。
「バン!!」
タブレットをカウンターに裏返しに伏せた。
画面は真っ暗。
店内は一瞬静まり返る。
そのタブレットの下から、くぐもった声が聞こえてきた。
「痛っ……通信エラー……」
「これは……労災だ……」
「リモート労災……」
同僚の店員は呆れた顔でつぶやく。
「お前のそれ、ただの通信遮断だろ」
その後、店長の判断により、
マサシの“完全リモート接客システム”は開始からわずか30分で廃止された。
こうしてマサシは、結局いつも通りレジに立つことになったのだった。
【作者コメント】
ここ数年で「リモートワーク」という働き方は、一気に身近なものになりました。
便利になった一方で、「全部リモートでできるわけではない」という現実もあります。
今回のマサシは、その便利さだけを都合よく解釈したらどうなるかを、極端に描いてみました。
現場でしかできない仕事まで”リモート化”しようとした結果、周りに仕事を押し付けるだけになってしまう。
本人は「マネジメント」や「効率化」と格好いい言葉を使っていますが、実態はベッドで寝転がっているだけというギャップが、この作品の一番の笑いどころです。
また、最後の「リモート労災」という一言も、マサシらしい”何でもそれっぽく言い換える”性格を象徴するセリフとして描きました。
もし読んでくださった皆さんが、
「それはリモートじゃなくてサボりだろ!」
と笑いながらツッコミを入れていただけたなら、この作品は大成功です。
便利な仕組みも、それを使う人次第。
そんなことを、少しだけコミカルに描いた一話になりました。

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