オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第26話
前回の「究極のスパイスカレー」で家族を腹痛に追い込んでしまったパパは、深く反省していました。
しかし、その反省の方向は少しだけズレていました。
パパは腕を組み、真剣な顔で言います。
「敗因は……素材だ」
料理の腕ではない。
スパイスの配合でもない。
素材そのものが問題だったのだ。
そう結論づけたパパは宣言します。
「これからは俺が作った究極の野菜で、究極の料理を作る!」
つまり――
家庭菜園プロジェクトの始動です。
翌日、パパはホームセンターへ向かいました。
新品のオーバーオール。
大きな麦わら帽子。
専門書「家庭菜園のすべて」。
さらに、1袋5000円もする「最高級有機培養土」と「超強力発酵堆肥」まで購入します。
完全に形から入っています。
庭に立ったパパは、農家さながらの表情で言いました。
「野菜作りは土が命だ」
そして袋を開けると――
ザッ、ザッ、ザッ!
大量の有機肥料を庭に撒き始めます。
その瞬間。
強烈な臭いが庭中に広がりました。
洗濯物を干していたママが顔をしかめます。
「ちょっとパパ!洗濯物に臭いがつく!」
近所の犬も吠え始めました。
しかしパパは満足そうに鼻歌を歌っています。
「この匂いこそ栄養の証……♪」
数時間後、庭は完全に“農園”のような状態になっていました。
そして――
数週間後。
庭の様子は劇的に変化していました。
野菜の葉は巨大に成長。
モサモサと茂り、まるでジャングルのようです。
しかしママは首をかしげます。
「葉っぱは元気なのに……」
「実が一つもならないのね」
さらに問題はそれだけではありませんでした。
子供たちが庭で叫びます。
「パパ!見て!」
葉っぱの裏には――
見たこともないほど巨大な毛虫。
蜘蛛の巣には大きな蜘蛛。
虫たちの楽園になっていたのです。
「パパ!虫の住処になってるよ!」
それでもパパは諦めませんでした。
そしてついに迎えた収穫の日。
食卓に並んだ料理は――
スーパーで買った新鮮なレタスのサラダ。
そして中央に置かれているのは、
パパが収穫した唯一の成果。
ひび割れて少し萎びたミニトマト1個。
家族はレタスを食べながら言います。
「やっぱりスーパーの野菜は安心で美味しいわね」
その横でパパは静かにミニトマトを見つめていました。
その小さな実には、
数週間の努力と、
肥料代と、
夢が詰まっています。
パパの目から、静かに涙がこぼれました。
「……でも」
「この一粒には、俺の夢が詰まってるんだ」
そして心の中で誓います。
「次こそ……」
「次こそは、収穫する」
※なお、この後パパは虫を駆除しようとして、農薬の使い方を誤り、再び腹痛を起こしました。


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