オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ 第13話
ある日の夜。
マサシのスマホに、突然メッセージが届く。
送り主は――高校時代の同級生。
それほど仲が良かったわけでもない相手だ。
むしろ、卒業してから一度も連絡を取っていない。
メッセージにはこう書かれていた。
「久しぶり!
マサシってさ、昔から他の奴と違うオーラあったよな」
「ちょっと話があるんだけど」
その言葉を見た瞬間、マサシの脳内で何かがカチッと切り替わる。
「……来たか」
「ついに来たな」
マサシはゆっくりとスマホを見つめながらつぶやく。
「ヘッドハンティングだ」
「俺の才能を嗅ぎつけたんだな」
ここ最近、動画配信やブログなど、様々な「成功の種」を考えてきたマサシ。
その片鱗が、ついに誰かの目に留まったのだ――と確信する。
数日後。
マサシは少しだけ気合いを入れた服装で、街のファミレスへ向かった。
店内で待っていた同級生は、やけに自信満々な笑顔を浮かべている。
席に着くと、すぐに熱い話が始まった。
「今の時代さ……」
「会社に縛られて働くのって、もう古いんだよ」
「大事なのは“権利収入”なんだ」
「夢、自由、時間――全部手に入る」
マサシは深く頷く。
「わかる」
「俺もずっと思ってた」
「縛られない生き方をしたいって」
同級生はさらに勢いを増す。
「これからは“オーナー”の時代なんだ」
「働くんじゃなくて、仕組みを持つ」
二人の会話は、妙に盛り上がっていた。
しかし――
微妙に話が噛み合っていない。
マサシの頭の中では、
「クリエイティブな才能を見込まれてのスカウト」
一方、同級生の頭の中では、
「怪しいビジネスへの勧誘」
話が最高潮に達したところで、同級生はカバンから資料を取り出した。
そこには大きく書かれている。
『スターターキット 300,000円』
「これが最初の投資なんだ」
「これさえあれば、マサシも“オーナー”だ!」
マサシは一瞬、固まる。
そして静かに財布を開く。
中には――
840円。
しかも来月のシフトは減らされている。
沈黙のあと、マサシはコーヒーを飲み干した。
そしてキリッとした表情で言う。
「悪いな」
「俺の価値は……」
「誰かが決めた値段、30万なんかじゃ買えないんだ」
(※ただ単に金がない)
同級生と別れたあと、夜道を歩くマサシ。
深く息を吐きながらつぶやく。
「……危なかった」
「俺の才能が搾取されるところだった」
しかし家に帰ると、晩ご飯はセールで買ったカップ麺。
湯気の向こうで、マサシは静かに箸を持つ。
そしてぽつりと言った。
「まあ……」
「成功する奴ってのは、こういう誘惑に負けないんだよな」
マサシは財布を見る。残金840円。 さらに来月のシフトも減らされている。
マサシはコーヒーを飲み干し、キリッとした顔で言う。 「悪いな。俺の価値は、誰かに決められた値段(30万)じゃ買えないんだ」 (※単に金がなくて払えないだけ)
帰り道、 「……危なかった。俺の才能が搾取されるところだった」 と安堵するが、晩ご飯はカップ麺(セール品)になる。


