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【サラリーマン奮闘記】第11話「週末LINE地獄(1分単位の逆襲)」

オリジナルマンガ

【今回の見どころ】

今回のテーマは、「休日の”ちょっとだけ”は、仕事です。」です。

以前、他人のIDによるシステム代行入力を規程を根拠に断られた斎藤課長。

その敗北を認めるどころか、まさかの

「勤務時間中がダメなら、休日に頼めばいい」

という斜め上の発想にたどり着きます。

金曜の夜、土曜の昼、日曜の夜――。

休日のたびに鳴り響く通知音。

「ちょっと見ておいて」
「軽く考えておいて」
「方向性だけ確認して」

どれも一見すると軽いお願いですが、受け取る側にとっては休日が仕事モードへ切り替わってしまう瞬間です。

さらに毎回添えられる、

「俺の若い頃は24時間仕事のことを考えていた」

という課長の”精神論”も、胃にじわじわ効いてきます。

しかし今回の反撃は感情論ではありません。

新しい勤怠システムの

「時間外の業務連絡への対応も労働時間」

という一文を見つけたタケルが、週末のLINEを一つひとつスクリーンショットで保存し、1分単位で淡々と申請していく姿は痛快そのもの。

そして最後は総務・ミユキによる一撃。

「休日業務指示は労務規定違反です。」

「残業予算オーバーにつき顛末書を提出してください。」

“ちょっとLINEしただけ”という課長の言い訳を、制度とルールがきれいに打ち返します。

最後に胃薬を飲みながらも、静かに「小さな勝利」を噛みしめるタケルらしい締めくくりも、このシリーズならではです。

【本文】

以前、斎藤課長から「ちょっと俺の代わりにシステム入力しておいてくれ」と頼まれた際、「他人のIDでの代行入力は禁止されています」と冷静に断り、見事に論破してみせたタケル。あの時は理不尽な指示を撃退したかに見えた。

しかし、斎藤課長はそう簡単に諦める男ではなかった。

「勤務時間中に雑用を頼めないなら……」

「時間外に頼めばいい」

そんな斜め上の結論にたどり着いてしまったのだ。

その週末から、タケルのスマホは静かな地獄へと変わる。

金曜の夜。

ピコン。

『例の企画書、月曜までに軽く案出しといて』

土曜の昼。

ピコン。

『このデータ、ちょっと見といてくれ』

日曜の夜。

ピコン。

『思いついたんだけど、この資料の方向性変えた方がいいかも』

そして最後には必ずこう付け加えられる。

『俺の若い頃はな、24時間仕事のことを考えていたもんだ』

そのメッセージを見るたび、タケルの胃はキリキリと痛む。

せっかくの休日なのに、スマホの通知が鳴るたびに仕事のことを考えさせられてしまうのだ。

後輩のショウは笑いながら言う。

「通知オフにすればいいじゃないですか」

しかしタケルは首を振る。

「……それができれば苦労しないよ」

真面目な性格のタケルは、つい内容を確認してしまうのだった。

そして月曜日の朝。

寝不足のまま出社したタケルは、いつものように胃薬を取り出して水で流し込む。

そのとき、総務のミユキが掲示板に新しいポスターを貼っているのが目に入った。

『新・勤怠管理システム導入のお知らせ』

タケルはぼんやりとその内容を読む。

すると、ある一文に目が止まった。

「時間外の業務連絡への対応も、労働時間として1分単位で申請すること」

タケルの頭の中で、何かが光った。

(……これだ)

その瞬間、タケルの表情が少しだけ変わる。

タケルはPCの前に座り、週末のLINE履歴を開く。

そして一つずつスクリーンショットを保存する。

金曜22時
『企画書案の確認』

土曜14時
『データ確認指示』

日曜21時
『資料方向性変更』

すべての証拠を添付し、勤怠システムに入力していく。

「金曜22時:業務指示対応(15分)」

「土曜14時:データ確認指示対応(30分)」

「日曜21時:資料指示対応(20分)」

最後に申請ボタンを押す。

ターン!

その数時間後。

フロアに総務のミユキの冷たい声が響いた。

「斎藤課長」

「部下への事前許可なき休日業務指示は、労務規定違反です」

「さらに今月の残業代予算を大幅に超過しています」

「部長宛ての顛末書の提出をお願いします」

斎藤課長の顔が一瞬で青くなる。

「て、顛末書ぉ!?」

「ちょっとLINEしただけじゃないか!」

しかしミユキは冷静だった。

「休日に仕事の連絡をするということは、そういうことです」

完全な正論である。

その後、涙目で顛末書を書き始める斎藤課長。

その背中を見ながら、タケルは静かに胃薬を飲む。

胃の痛みはまだ残っている。

だが、週末の労働時間はすべて正当な残業代として計上された。

タケルは小さく息をつく。

そして心の中でつぶやく。

(……小さな勝利、ですね)

スマホの通知音が鳴らない、静かな月曜日だった。

【作者コメント】

今回は、多くの方が一度は経験したことがあるかもしれない

「休日の仕事LINE」

をテーマにしました。

送る側は「少し確認したいだけ」「返信はいつでもいいから」という気持ちでも、受け取る側は通知が来た瞬間から仕事のスイッチが入ってしまいます。

休日なのに頭の片隅で仕事を考え続ける――。

その時間も、立派な負担になることがあります。

最近では企業でも、「勤務時間外の業務連絡」や「つながらない権利」が少しずつ重視されるようになってきました。

便利なチャットツールは仕事を効率化してくれますが、その便利さが相手の休息時間を奪ってしまうこともあります。

今回のタケルは感情的に反論するのではなく、会社のルールを正しく理解し、正式な手続きを踏んで解決しました。

「ルールは会社を縛るものではなく、働く人を守るものでもある」

そんなことを、少しでも笑いながら感じてもらえたら嬉しいです。

そして今回も、胃薬を飲みながら会社を守るタケルと、冷静かつ的確に規程を運用するミユキが、オフィスの平和を守ってくれました。

『サラリーマン奮闘記』では、職場で実際に起こり得る出来事をコミカルに描きながら、仕事に役立つ考え方やルールも取り入れています。

今回も最後まで読んでいただき、ありがとうございました。次回も、斎藤課長が巻き起こす新たな騒動をお楽しみにしてください。