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【不屈な父親奮闘記】第32話「パパ、理想のウッドデッキを『設計』する」

オリジナルマンガ

【今回の見どころ】

今回のテーマは、「理想を追い求めた結果、設計だけで満足してしまう父のDIY奮闘記」です。

これまで数々の挑戦を続けてきたパパが、今度は家族のためにウッドデッキ作りを決意します。

掲げた目標は、

「家族の絆は、頑丈な基礎から始まる!」

その意気込みは本物ですが、今回も”形から入る”スタイルは健在。

プロ仕様のインパクトドライバやレーザー墨出し器、高級木材保護塗料まで揃え、ガレージはすっかり職人の工房に。

子どもたちから「プロみたい!」と尊敬の眼差しを向けられ、得意満面のパパですが、本番はここからでした。

実際の作業よりも夢中になったのは、設計図づくり。

3D設計や耐荷重計算、木材の収縮率まで細かく分析し、

「接合部の収縮誤差は0.5ミリ以内」

と、まるで建築士さながらのこだわりを見せます。

そして迎えた施工初日。

一本目のネジを打とうとした瞬間――

またしても腰が悲鳴を上げるという、おなじみの展開に。

「地面の硬さを感じること自体が基礎工事だ」

と最後まで前向きに解釈する姿には、思わず笑ってしまいます。

一方、パパが並べた木材は、子どもたちの秘密基地となり、ママも加わって庭は楽しいピクニック会場へ。

完成しなかったウッドデッキよりも、自然に生まれた家族の笑顔こそが、本当の”理想の空間”だったのかもしれません。

【本文】

ある週末。これまでのキャンプや朝活の失敗を経てなお、パパの向上心は衰えるどころか加速していた。

「次は“家族のため”だ」

そう高らかに宣言したパパは、庭に“理想のウッドデッキ”を作ることを決意する。

「家族の絆は、頑丈な基礎から始まる!」

その言葉とともに、今回も例によって“形”から入るパパは、驚異的なスピードで機材を揃えていく。
プロ仕様の充電式インパクトドライバ、精密な水平を保証するレーザー墨出し器、さらには用途がやや不明な北欧製の高級木材保護塗料まで購入。

気がつけばガレージは、もはや職人の工房と化していた。

「パパ、プロの大工さんみたい!」

子どもたちの純粋な称賛に、パパは満足げに頷く。

「当然だ。これは遊びではない。“建築”だ」

しかし、その情熱はやがて予想通りの方向へと逸れていく。

数日後。
パパはまだ一枚も木材を組んでいなかった。

代わりに彼が没頭していたのは、設計だった。

簡単なラフスケッチで済むはずの計画は、いつの間にかCADソフトによる3D設計へと進化。
基礎の耐荷重計算、地盤との接地圧、木材の収縮率、接合部の応力分散……。

すべてを数値で管理し始める。

「接合部の収縮誤差は0.5ミリ以内……これがプロの流儀だ」

キーボードを叩きながら、完全に研究者の目になっているパパ。

深夜、モニターに映る精密な設計図を見つめながら、静かに呟く。

「……完成した」

「この時点で、このウッドデッキは“建築学的には完成している”」

誰もいないリビングに、静かな達成感だけが漂っていた。

――そして迎えた施工初日。

満を持して、ついに現場へ。

木材を整然と並べ、工具を配置し、パパはゆっくりとインパクトドライバを構える。

「ここからが……現実だ」

一本目のネジを打ち込もうと、腰を落としたその瞬間――

「グキッ!!」

鈍い音とともに、全身が硬直する。

「うおおおぉ……!!」

連日の設計作業と、無駄に重い工具の扱いで酷使された腰が、ついに限界を迎えた。

そのまま前のめりに崩れ落ちるパパ。

だが、思考だけは止まらない。

「……違う……これは失敗じゃない」

芝生に倒れながら、ゆっくりと呟く。

「今の俺にとって、この地面の硬さを感じること……それ自体が“基礎工事”だ」

完全に概念へと逃避するパパ。

一方その頃――

「ねえこれ、秘密基地にしようよ!」

子どもたちはパパが並べた木材を使い、自由に遊び始める。

レジャーシートを広げたママも合流し、庭は一気にピクニック空間へ。

笑い声が響く。

その光景を、地面に倒れたまま見つめるパパ。

「……これこそが、計算を超えた家族の絆」

「究極の基礎工事……」

目にうっすら涙を浮かべながら、どこか満足げに呟く。

こうしてパパの“理想のウッドデッキ”は――
一本のネジも打たれることなく、家族の遊び場として先に完成した。

※なお、この後パパは腰を悪化させ、数日間動けなくなった。

【作者コメント】

DIYは、自分の手で何かを作り上げる楽しさがあります。

設計図を描いている時間も、「こんな風に完成したらいいな」と想像が膨らみ、とてもワクワクするものです。

今回のお父さんも、その気持ちは誰にも負けていません。

ただ、いつものように”完璧”を求め過ぎた結果、設計だけがどんどん進化し、肝心の作業に入る前に力尽きてしまいました。

細部までこだわることは決して悪いことではありませんが、ときには「まず作ってみる」という一歩も大切なのだと、お父さん自身が身をもって教えてくれています。

そして印象的なのは、完成しなかった木材が子どもたちの秘密基地になったラストシーンです。

大人が「未完成」と思っているものでも、子どもたちにとっては最高の遊び場になることがあります。

家族の笑顔は、完璧な設計や立派な完成品だけでは生まれません。

一緒に過ごす時間や、その場で自然に生まれる思い出こそが、一番の宝物なのだと思います。

『不屈な父親奮闘記』のお父さんは、今回も腰を痛めながら終わってしまいましたが、それでも挑戦をやめることはありません。

失敗しても、そこから前向きな意味を見つけ出し、また新しいことへ挑戦する――。

そんな少し不器用で、一生懸命なお父さんを、これからも温かく見守っていただけたら嬉しいです。