オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第12話
待ちに待った週末。
仕事から解放された父は、朝から妙に張り切っていた。
「さあ週末だ!
今日は俺が専属運転手!みんな、どこ行きたい?」
車のキーを手に、満面の笑みで家族に声をかける父。
久しぶりに家族サービスでもしようという気持ちだった。
しかしソファに座る娘たちの反応は、思ったよりも淡白だった。
「あ、私は駅まででいいよ。」
「……あ、別に。」
あまりにもあっさりした返事に、父は少し肩透かしを食らう。
だが「まあそれでも家族と出かける時間だ」と前向きに考え、車を出すことにした。
しかし、車を走らせて数分後。
後部座席から娘の声が聞こえる。
「私ここで降ろして。
彼氏と約束あるから。」
父は思わずバックミラーを見つめる。
「えっ?」
さらにもう一人の娘も続ける。
「私はデパートの前でいい。
あとで連絡するから。」
気がつけば、家族は次々と目的地で降りていく。
残されたのは、ハンドルを握る父ただ一人。
広い駐車場に車を停め、父はぼんやりと呟いた。
「えっ……みんなバラバラ……?」
周囲には買い物客の賑わい。
楽しそうな家族連れやカップルの笑い声が聞こえる。
しかし父は、車の中で静かに待ち続けるしかなかった。
「……俺、今日ただのタクシー?」
しばらくして、娘たちは買い物袋を抱えて戻ってくる。
「パパ、待たせたー!」
まるで何事もなかったかのように後部座席に乗り込む二人。
そして明るく言った。
「あー楽しかった!
パパ、お腹すいた!夕飯は焼肉ね!」
父は一瞬だけ遠い目をする。
「……はい。」
エンジンをかけながら、父は小さくつぶやいた。
「……俺の週末……」
こうして父の休日は、家族の移動を支える
専属ドライバーとして静かに終わっていくのであった。
だがこれもまた、この家庭の日常。
今日もまた父のささやかな期待は、ハンドルと共にどこかへ走り去っていくのである。


