オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第24話
キャンプから帰宅した翌日。
駐車場に停められた愛車を見て、パパは言葉を失った。
ボディには泥がこびりつき、タイヤには砂や草が絡みついている。
昨日まで自然の中を走り回った代償とはいえ、その姿はあまりにも無残だった。
「これは……いかん。」
パパは腕を組み、厳しい表情で車を見つめる。
「ガソリンスタンドの洗車機なんて論外だ。」
そして力強く宣言した。
「愛車は、愛情を込めて手洗いするものだ!」
その日の午後、パパはホームセンターから大量の道具を抱えて帰ってきた。
高圧洗浄機、業務用カーシャンプー、専用スポンジ、拭き上げクロス、そしてなぜか高級ワックスまで。
まるでプロの洗車職人の装備である。
家族が玄関からその様子を見ている。
「……また始まった。」
パパはホースを握りしめ、気合いを入れる。
「水圧よし!」
スイッチを入れると――
バシャアアア!
強烈な水流が車に向かって噴き出した。
「よし! 泥を一気に落とす!」
しかし勢いが強すぎて、水が跳ね返る。
次の瞬間――
パパの全身がびしょ濡れになっていた。
「ぐわっ! 水圧が……!」
それでもパパは止まらない。
「まだだ……!」
今度はスポンジで丁寧に泡を広げる。
「細部が大事なんだ。」
ホイールの隙間には綿棒を使い、タイヤの溝まで丁寧に磨き始める。
さらに拭き上げでは、三種類のタオルを使い分けるという徹底ぶりだった。
「これは水滴用、これは仕上げ用、これは最終磨き用だ。」
そのこだわりは、もはや洗車というより儀式に近い。
何時間もかけた作業の末――
ついに車は、新車のような輝きを取り戻した。
夕日に照らされたボディがキラリと光る。
パパは腰に手を当て、満足そうに頷いた。
「見たか……!」
「これが鏡面仕上げだ!」
しかしその瞬間。
空が急に暗くなる。
ゴロゴロ……
遠くで雷が鳴った。
そして――
ザーーーッ!!
突然のゲリラ豪雨。
激しい雨が一気に降り注ぎ、ピカピカだった車はみるみるうちに泥水に包まれていく。
パパはホースを握ったまま立ち尽くしていた。
「……」
窓の向こうでは、家族がその様子を静かに見つめている。
ママがぽつりとつぶやく。
「……嘘だろ。」
雨の中、魂の抜けたような顔で立つパパ。
こうしてパパの“洗車の流儀”は、
わずか数分で自然の力に打ち砕かれてしまったのであった。


