オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第21話
ある日の夜。
風呂上がりのパパは、何気なく脱衣所の鏡の前に立った。
タオルで頭を拭きながらふと視線を落とすと、そこには見慣れているはずの自分のお腹――しかし、改めて見ると、以前よりも明らかに丸みを帯びている。
「……これはまずい。」
パパは思わずお腹をつまんだ。
ぷにっ。
その感触に軽く衝撃を受ける。
「このままでは完全に中年太りだ……!」
その瞬間、パパの中で何かが目覚めた。
翌日。
パパは全身ピカピカのランニングウェアに身を包み、玄関に颯爽と現れた。
最新モデルのランニングシューズ、吸汗速乾のスポーツウェア、そして腕にはなぜかスポーツウォッチまで装着している。
完全に“形から入るタイプ”である。
胸を張って宣言する。
「今日から俺はアスリートだ!」
突然の宣言に、ママと子供たちはぽかんとする。
「健康な体を作るんだ!」
「風になるぞ!」
そう言うとパパは、意気揚々と家を飛び出していった。
玄関から見送る家族。
「パパ頑張ってー!」
「大丈夫かな?」
少し心配そうな声を背に、パパは軽やかなフォームで走り出す。
タッタッタッ――
腕の振りも、姿勢も、それなりに様になっている。
本人は完全にマラソン選手のつもりだ。
しかし――
そのわずか五分後。
近所の公園。
ベンチの上に、真っ赤な顔をしてぐったりと座り込む人影があった。
パパである。
「ハァ……ハァ……」
肩で息をしながら、完全に体力が尽きている。
「……死ぬ……」
つぶやきながらベンチに寄りかかるパパの横を、一匹の散歩中の犬が通りかかった。
犬は立ち止まり、心配そうにパパの顔を見上げる。
「……」
パパは犬と無言の視線を交わす。
その数十分後。
パパは何事もなかったかのように帰宅した。
しかし手には、コンビニの袋が握られている。
袋の中には、揚げたての唐揚げと冷えたビール。
パパは椅子に座ると、満足そうに袋を開けながら言った。
「運動した後は、栄養補給が大事なんだ。」
プシュッ。
ビールの缶が軽快な音を立てる。
「消費したカロリーを補給しないとな……」
そう言いながら唐揚げを頬張るパパ。
テーブルの向かい側では、ママと子供たちが静かにその光景を見つめている。
「……結局それ?」
冷たい視線が突き刺さる中、パパはビールを一口飲んで満足そうにつぶやいた。
「明日から本気出す。」
こうしてパパのフィットネス計画は、
静かにカロリーへと変わっていくのだった。


