オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第16話
先週のDIYでの失敗。
ベランダに追放された“特製棚”を思い出しながら、父は静かに拳を握っていた。
「このままじゃ終われない……」
家族の評価を取り戻すため、父は新たな挑戦を決意する。
それが――料理だった。
日曜日の夕方、父はエプロンを締めながら宣言する。
「今日はパパが夕飯を作るぞ!」
突然の宣言に、妻と娘は顔を見合わせる。
「……大丈夫かしら」
「パパ料理できるの?」
しかし父は自信満々だった。
テレビやネットで見た“男の料理”のイメージが頭にある。
「料理はな、強火が命なんだ!」
父は中華鍋を豪快に振り上げる。
今日のメニューは、父特製のカレーだ。
だが調理が始まると、キッチンから異様な音が聞こえ始める。
「ボウッ!」
「ジュワァァァ!」
鍋から炎が上がり、煙が立ち込める。
換気扇は全力で回っているが、まるで追いつかない。
まるで台所が戦場のような状態だった。
妻と娘は、離れた場所から不安そうに様子を見守る。
「ケホッ……」
「大丈夫かな……」
しかし父は満足そうに言う。
「これが香ばしさの秘訣だ!」
しばらくして、ついに料理が完成した。
父は誇らしげに皿をテーブルへ運ぶ。
「できた!
特製ブラックカレーだ!」
しかし皿の上にあったのは――
黒く焦げつき、ドロドロになった謎の物体だった。
娘は思わずつぶやく。
「……これ、何?」
父は慌てて説明する。
「いや、これはな。
焦げじゃない。香ばしさだ!」
しかし家族は無言だった。
そして数分後――
「ピンポーン」
玄関のチャイムが鳴る。
結局、夕飯は急遽注文した宅配ピザになった。
テーブルでは、妻と娘が美味しそうにピザを食べている。
「ピザ美味しいね!」
「うん!」
その横で父は、自分のブラックカレーを静かに口に運ぶ。
「……辛い……」
味なのか、状況なのかは分からない。
こうして父の名誉挽回作戦は、またしても空回りに終わった。
それでも父は、スプーンを握りながら小さく思う。
「……次こそは……」
今日もまた、この家では
不屈の父の挑戦が静かに続いていくのである。


-120x68.png)