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【サラリーマン奮闘記】第18話「サボりの罠」

オリジナルマンガ

【今回の見どころ】

今回のテーマは、「AIは、”会議”だけでなく、”サボり”も見抜く。」です。

最新のスマート会議室システムが導入され、「会議室の利用状況がAIで可視化される」という現代らしい設定から物語が始まります。

しかし、その機能を知らない斎藤課長は、

「第3会議室を3時間押さえろ。”極秘会議”って入れておけ」

と、堂々と”昼寝用の会議室”を確保。

しかも昨夜の飲み過ぎで、そのままソファで熟睡してしまうという、何とも課長らしい展開です。

今回最大の見どころは、AIが会議室の状態を淡々と解析する場面。

全社カレンダーには、

参加者1名
動きなし
活動状態「睡眠(サボり)」

という、あまりにも正直すぎる結果が表示されます。

「極秘会議」のはずが、全社員に”昼寝中”だと公開されてしまう皮肉は、このシリーズらしい痛快さがあります。

そして部長とミユキが会議室へ向かい、

「これが”極秘会議”か!!」

と扉を開ける場面は、本作最大のクライマックス。

最後の

「AIだよ。会議内容、全部”見えてます”ので」

というミユキの一言も、シンプルながら強烈な決め台詞になっています。

【本文】

今週、オフィスに新たに導入されたのは、最新鋭の「スマート会議室システム」だった。
会議室の無断占有や“カラ予約”を防ぐため、室内に設置されたIoTセンサーが人の動きや人数、さらには会話の活発さまでを検知し、AIが「実際に会議が行われているか」をリアルタイムで判定するというものだ。その結果は全社カレンダーに即時反映され、誰でも閲覧できる仕組みになっている。

「……ついにここまで来たか」
マニュアルを読みながら、タケルは静かにため息をつく。

そんな高度なシステムの存在など露ほども知らない斎藤課長は、昨晩の深酒の影響で顔色が悪く、頭を押さえながら出社してきた。

「タケル……今日は無理だ……」
そう言うなり、周囲を見回して声を潜める。

「第3会議室、3時間押さえろ。“極秘会議”って入れておけ。誰も入ってこられないようにするんだ……俺はちょっと仮眠する」

堂々たる業務中昼寝宣言に、タケルの胃がキリキリと痛み出す。

(……極秘会議という名の昼寝……)

しかし反論はしない。いつものように無表情のままPCを開き、予約画面を操作する。
そのとき、画面の注意書きが目に入る。

『※AIセンサーが室内利用状況を解析し、全社カレンダーに自動公開されます』

タケルの指が一瞬止まる。

(……なるほど……“隠せない”仕組みか……)

静かに何かを理解したタケルは、そのまま指示通りに「A社向け極秘プロジェクト会議」と入力。さらに、システムの詳細設定画面を開き、【ステータス共有機能:ON】を選択し、迷いなく確定ボタンを押した。

「……これで準備完了ですね」

数分後。

第3会議室では、斎藤課長がソファに横たわり、豪快ないびきを響かせていた。
極秘どころか、完全に“無防備な睡眠”である。

一方その頃、フロア中央の大型モニターには、全社カレンダーが表示されていた。
そこに、ひときわ目立つ赤文字の警告が浮かび上がる。

『第3会議室』
『予定:極秘プロジェクト会議(予約者:斎藤課長)』
『AI解析:参加者1名/動きなし/活動状態【睡眠(サボり)】』
『※会議室の不正利用の疑い』

「……ほう」

その表示の前に立っていた部長の額に、青筋が浮かぶ。
隣には、タブレットを手にした総務のミユキ。

「人感センサーとサーモグラフィー解析の結果です。完全に“睡眠状態”と判定されていますね」

冷静すぎる説明が、逆に恐ろしい。

「……行くぞ」

低い声とともに、二人は会議室へと向かう。

次の瞬間――

「バンッ!!」

会議室のドアが勢いよく開かれ、静寂を破る怒号が響き渡る。

「斎藤ぉ!! これが“極秘会議”か!!」

飛び起きる課長。状況が理解できず、ただ目を白黒させる。

「な、なんだ!? 誰だ!?」

「AIだよ」

ミユキが淡々と告げる。

「会議内容、全部“見えてます”ので」

顔面蒼白になる斎藤課長。

「な、なんでそんなことまで……!」

その声は、もはや威厳のかけらもなかった。

一部始終を静かに見届けながら、タケルは席に戻る。

(……AIは、嘘をつかない)

そう心の中でつぶやきながら、いつものように胃薬を口に含む。

今日もまた、声には出さないが確かな手応え。

小さく、しかし確実な――

**「小さな勝利」**を噛みしめるのだった。

【作者コメント】

今回は、「便利なシステムは、業務効率だけでなく、不正も見えるようにする」というテーマで描きました。

近年は、会議室予約システムやIoTセンサーなどを活用して、設備の利用状況を効率的に管理する企業も増えています。

もちろん、この作品のように「睡眠(サボり)」と表示される演出はフィクションですが、「予約だけして使われていない会議室」を検知したり、利用状況を可視化したりする仕組み自体は、実際にも広がりつつあります。

今回の斎藤課長は、「極秘会議」という名目なら誰にも気付かれないと思っていました。

しかし、AIには肩書きも言い訳も通用しません。

人が見逃してしまうことでも、システムは事実だけを淡々と記録します。

タケルも今回、特別な反撃をしたわけではありません。

ただ、システムの機能を正しく理解し、そのまま利用しただけです。

『サラリーマン奮闘記』では、

「誠実な仕事はシステムとも相性が良く、不正は自ら証拠を残してしまう」

というメッセージを、コミカルなストーリーを通して描いています。

便利な技術は、人を監視するためではなく、誰もが公平に働ける環境を支えるためのもの。

今回もまた、タケルは胃薬を片手に、小さくても確かな勝利を積み重ねることができました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

次回も、思わず「こんな上司いるかも」と笑ってしまうような”会社あるある”をお楽しみください。