オリジナルWeb漫画:フリーター奮闘記シリーズ 第16話
【今回の見どころ】
今回のテーマは、「理想の食生活」と「空腹には勝てない現実」です。
「現代人は食べすぎだ。」
昼休憩の控室で突然始まるマサシの”食事哲学”。
一日一食こそが最高のパフォーマンスを生み出すと熱弁し、アーモンド数粒だけで満足そうに語る姿は、今回も意識の高さ全開です。
「空腹は最高のスパイス」
「身体のパフォーマンスは最大化する」
と自信満々に宣言する姿に、同僚たちも半信半疑ながら聞き入ります。
しかし、本当の見どころはここから。
夜勤明け、限界まで空腹になったマサシの前に現れるのは、廃棄寸前のホットスナックと値引きされた大盛り弁当。
理性を保っていたマサシが一瞬で崩壊し、
「うおおおおお!!」
と食べ始める場面は、この作品最大の笑いどころです。
唐揚げ、フランクフルト、弁当を夢中で頬張る姿は、さっきまでの哲学者とは別人。
そして食べ終わったあとも、
「身体が求めていたエネルギー補給だ。」
と最後まで理論で正当化するところが、いかにもマサシらしい魅力です。
ラストの
「……明日からは二食にするか。」
という、少しだけ現実と折り合いをつける一言まで含めて、笑いと共感が詰まった一話になっています。
【本文】
ある日の昼休憩。
コンビニのスタッフ控室で、マサシは突然、哲学者のような顔で語り始めた。
「現代人は食べすぎなんだ」
同僚たちが弁当のフタを開ける中、マサシは腕を組み、静かに続ける。
「一日三食なんて、完全に思い込みだ」
「人間の身体は、本来そんなに食べなくても動く」
そして机の上に置かれた小袋をつまみ上げる。
中に入っているのは――アーモンド数粒。
「俺は今日から一日一食にする」
「食事回数を減らせば、身体のパフォーマンスは最大化するんだ」
控室の空気が少しだけ静まる。
同僚たちは弁当を食べながら、なんとなく頷いている。
マサシは水を一口飲み、ナッツを三粒ほど口に放り込む。
「空腹っていうのはな……」
「最高のスパイスなんだ」
「むしろ腹が減っている方が、集中力は高まる」
どこか満足そうに語るマサシ。
同僚の一人が小さく呟く。
「へぇ……」
しかし、その声はどこか半信半疑だった。
その日、マサシは宣言通り、ほとんど何も食べなかった。
夜勤の間も、水だけで乗り切る。
最初は調子が良かった。
むしろ頭が冴えているような気すらする。
「やっぱりな」
「これが本来の人間の身体なんだ」
そう確信していた。
しかし――
夜勤明けの早朝。
状況は一変する。
腹が鳴る。
いや、鳴るというレベルではない。
身体の奥から、何かが叫んでいる。
「食え」
「今すぐ食え」
理性がゆっくりと崩れていく。
その瞬間、マサシの視界に飛び込んできたのは――
廃棄寸前のホットスナック。
値引きシールが貼られた大盛り弁当。
マサシの目がギラリと光る。
「うおおおおお!!」
次の瞬間、理性は完全に消えた。
唐揚げを一つ、口に放り込む。
続けてフランクフルト。
さらに弁当のご飯をかき込む。
まるで飢えた野生動物のように、マサシは食べ続けた。
数分後。
床に座り込み、腹をさするマサシ。
腹はパンパンに膨れている。
周囲には食べ終わった容器が散乱していた。
「……」
しばらく沈黙。
そしてマサシはゆっくり呟く。
「これも……」
「身体が求めていたエネルギー補給だ」
「つまり必然」
誰に言うでもなく、静かに頷く。
そして横になりながら、ぼそっと言った。
「……明日からは」
「二食にするか」
【作者コメント】
健康法や食事法には、本当にさまざまな考え方があります。
一日一食、二食、三食。
どれにもそれぞれの考え方があり、自分に合った方法を見つけることが大切だと思います。
今回のマサシは、情報を見た瞬間に「これが正解だ」と信じ込み、極端に実践してしまいました。
そして最後は、人間の本能である空腹にあっさり敗北します。
理論では納得していても、身体は正直。
そんな”頭で考える自分”と”本能で動く自分”のギャップを、マサシらしくコミカルに描いてみました。
最後に「一日二食にするか」と少しだけ軌道修正するところは、珍しく現実的な成長なのか、それともまた次の健康法に飛びつく前触れなのか……。
そのあたりも想像しながら、楽しんでいただけたら嬉しいです。


