【不屈な父親奮闘記】第22話「キャンプの達人」

オリジナルマンガ

最近、テレビでも雑誌でもSNSでも「キャンプ」が大流行している。
自然の中で焚き火を囲み、星空の下で語り合う――そんな優雅なアウトドアライフに憧れたパパは、ついに家族をキャンプ場へ連れ出す決意をした。

週末の朝、車いっぱいに積み込まれた新品のキャンプ用品。
巨大なテント、ランタン、アウトドアチェア、そしてなぜか必要以上に多い道具の数々。

キャンプ場に到着すると、パパは胸を張って宣言する。

「テントの設営はパパに任せろ!」

大きなテント袋を広げながら、得意げに言い放つ。

「プロ顔負けの秘密基地を作ってやる!」

ママと子供たちは、少し不安そうな顔でその様子を見守る。

しかしパパは自信満々だった。

「説明書なんて必要ない。
こういうのは勘でわかるんだ。」

そう言ってポールを組み立て始めるパパ。

だが――

数分後。

「ぐちゃ…ぐちゃ…」

テントの骨組みは複雑に絡まり、どのポールがどこに入るのか分からなくなっていた。

「あれ……?」

さらに力任せに引っ張ると、ポールが弾ける。

バンッ!

「うおっ!」

テントの布に包まれ、パパはまるで巨大な布の怪物に飲み込まれたかのような状態になってしまう。

遠くからその様子を見ている家族。

「……大丈夫かな。」

「パパ、頑張って。」

しかし声援はどこか控えめだ。

気がつけば太陽は傾き、辺りはすっかり夕方。

何度もやり直しながら、ようやくテントは形になり始めた。

そしてついに――

テントが完成した。

しかしそれは、どう見てもまっすぐではない。

片側に大きく傾き、まるでピサの斜塔のように歪んでいる。

ママが静かに言う。

「……これ、大丈夫?」

パパは汗だくになりながら胸を張る。

「これはな、
風を受け流す最新のフォルムなんだ……!」

その夜。

焚き火の火が揺れ、静かなキャンプ場に夜の風が吹き始めた。

ヒュオオオ……

その瞬間。

バサッ!

テントが大きく揺れる。

そして――

あっけなく崩れ落ちた。

「……」

その後。

家族全員は、車の中に避難していた。

狭い車内に身を縮めて座る家族。

子供たちはすぐに眠ってしまい、ママも疲れた様子で目を閉じている。

運転席でパパは、静かに窓の外を見つめていた。

そこには、風に吹かれてぺしゃんこになったテントの姿。

パパは小さくつぶやく。

「……車中泊か。」

こうしてパパの“完璧なキャンプ計画”は、
またしても静かな敗北と共に夜の闇へと消えていくのであった。