【フリーター奮闘記】第16話 あらすじ『ミニマリストの食卓』

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ある日の昼休憩。
コンビニのスタッフ控室で、マサシは突然、哲学者のような顔で語り始めた。

「現代人は食べすぎなんだ」

同僚たちが弁当のフタを開ける中、マサシは腕を組み、静かに続ける。

「一日三食なんて、完全に思い込みだ」

「人間の身体は、本来そんなに食べなくても動く」

そして机の上に置かれた小袋をつまみ上げる。

中に入っているのは――アーモンド数粒。

「俺は今日から一日一食にする」

「食事回数を減らせば、身体のパフォーマンスは最大化するんだ」

控室の空気が少しだけ静まる。

同僚たちは弁当を食べながら、なんとなく頷いている。

マサシは水を一口飲み、ナッツを三粒ほど口に放り込む。

「空腹っていうのはな……」

「最高のスパイスなんだ」

「むしろ腹が減っている方が、集中力は高まる」

どこか満足そうに語るマサシ。

同僚の一人が小さく呟く。

「へぇ……」

しかし、その声はどこか半信半疑だった。

その日、マサシは宣言通り、ほとんど何も食べなかった。

夜勤の間も、水だけで乗り切る。

最初は調子が良かった。

むしろ頭が冴えているような気すらする。

「やっぱりな」

「これが本来の人間の身体なんだ」

そう確信していた。

しかし――

夜勤明けの早朝。

状況は一変する。

腹が鳴る。

いや、鳴るというレベルではない。

身体の奥から、何かが叫んでいる。

「食え」

「今すぐ食え」

理性がゆっくりと崩れていく。

その瞬間、マサシの視界に飛び込んできたのは――

廃棄寸前のホットスナック。

値引きシールが貼られた大盛り弁当。

マサシの目がギラリと光る。

「うおおおおお!!」

次の瞬間、理性は完全に消えた。

唐揚げを一つ、口に放り込む。

続けてフランクフルト。

さらに弁当のご飯をかき込む。

まるで飢えた野生動物のように、マサシは食べ続けた。

数分後。

床に座り込み、腹をさするマサシ。

腹はパンパンに膨れている。

周囲には食べ終わった容器が散乱していた。

「……」

しばらく沈黙。

そしてマサシはゆっくり呟く。

「これも……」

「身体が求めていたエネルギー補給だ」

「つまり必然」

誰に言うでもなく、静かに頷く。

そして横になりながら、ぼそっと言った。

「……明日からは」

「二食にするか」