オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第8話
連日の激務で、父の疲労はすでに限界に達していた。
その夜、ようやく布団に入った父は、数秒も経たないうちに深い眠りへ落ちていく。
しかし――。
次の瞬間、寝室に響き渡ったのは、まるで怪獣の咆哮のような轟音だった。
「ガーーッ!!」
「ゴゴゴゴゴ……!!」
父の豪快ないびきが、静かな夜を切り裂く。
壁が揺れるほどの振動に、隣で寝ていた娘・優子は思わず飛び起きた。
「うるさい……!
家が揺れてる……!?」
耳をふさぎながら布団の上で悶える優子。
その横では母も完全に目が覚めてしまっていた。
このままでは、誰も眠れない。
そしてついに――
優子は決断する。
「お父さん、寝室への立ち入りを禁止します。
これは騒音公害です。」
父はまだ半分寝ぼけながら目を開ける。
「えっ!?
まだローン残る俺の寝室が!?」
だが判決は覆らない。
優子は父の枕と布団を抱え、静かに部屋の外へ運び出す。
「却下します。」
そして案内された場所は――
廊下。
父は目を疑う。
「ここ!?
せめてリビングのソファで寝かせてくれ!」
だが優子は腕を組んで言い放つ。
「ソファはリビングの顔です。
いびき菌を拡散しないでください。」
完全に逃げ場を失った父。
仕方なく廊下に敷かれた布団に横になる。
夜の廊下は静かで、ひんやりとしている。
床の硬さがじわじわと体に伝わってくる。
しばらくして、父はぽつりとつぶやいた。
「……廊下の床って……
意外と硬くて冷たいな……(涙)」
こうして父は、家庭内ヒエラルキーの中で
ついに寝る場所までも失うことになったのだった。
だがこれは、父と娘の間で続く
終わりなき家庭内攻防の、ほんの一夜に過ぎない。
今日もまたこの家では、
父のささやかな安息が、静かに試されているのである。


