オリジナルWeb漫画:不屈な父親奮闘記シリーズ 第30話
【今回の見どころ】
今回のテーマは、「究極のアウトドアを目指した父、自然より設営に夢中になる!」です。
家の中で数々の失敗を重ねたパパがたどり着いた答えは、
「真の休息は、大自然の中にある!」
という結論でした。
しかし今回も、パパらしく”形から入る”のは健在。
超大型テントや本格石窯、職人手作りの薪割り斧など、本格的なキャンプ用品を次々と揃え、完全にプロキャンパー気分です。
ところが、キャンプ場で始まったのは自然を楽しむことではなく、テント設営への異常なこだわり。
水平器まで持ち出し、
「1ミリの狂いも許さん!」
と真剣な表情で調整を続ける姿は、もはやキャンプというより建築現場。
その間に子どもたちは遊び始め、ママは待ちくたびれてしまいます。
さらに薪の積み方まで芸術作品のようにこだわるなど、目的と手段が完全に入れ替わってしまうパパの姿は、思わず笑ってしまうポイントです。
そして迎えるクライマックス。
石窯でピザを焼こうと薪を持ち上げた瞬間――
またしても腰が悲鳴を上げるという、おなじみの展開に。
「動かないことこそ真のサバイバル」
と必死に理屈を並べるものの、最後はハンモックから降りられなくなってしまいます。
その横で家族はカセットコンロで作ったカップ麺を美味しそうに食べながら、
「外で食べると美味しいね。」
と自然を満喫。
準備に全力を注いだパパより、肩の力を抜いて過ごした家族のほうがアウトドアを楽しんでいるという対比も、この作品ならではの見どころです。
【本文】
家の中での数々の失敗――スマートホームに締め出され、筋トレで腰を痛め、休息すら暴走した結果、もはや家族からの信頼も微妙になりつつあったパパ。そんな中、彼はふと悟る。
「……人工的な環境に頼るからいけないんだ」
そして高らかに宣言する。
「真の男の休息は、大自然の中にある!」
その日から、パパの“アウトドア覚醒”が始まった。
もちろん今回も例によって“形から入る”。ネットで徹底的に調べ上げ、プロ仕様の超大型テント、職人手作りの薪割り斧、さらには本格ピザが焼けるポータブル石窯まで一気に購入。庭に並べては満足げに頷く。
「これが“本物”だ……!」
数日後、満を持して家族を連れてキャンプ場へ。
しかし現地に到着しても、パパの関心は自然そのものではなく、“設営の完成度”へと向かっていく。
「テントは美しくあるべきだ」
そう言いながら取り出したのは、まさかの水平器。
ポールの角度、地面との接地、張り具合――すべてをミリ単位で調整し始める。
「1ミリの狂いも許さん」
その様子に、子どもたちは最初こそ興味津々だったが、次第に飽きてその辺の枝で遊び始める。ママはスマホで時間を確認しながらため息をつく。
それでもパパは止まらない。
薪もただ積むのではない。空気の流れと美しさを両立させた“幾何学構造”を構築。
「これが……芸術だ」
すでに設営だけで数時間が経過していた。
ようやく満足したパパは、コーヒー豆を挽きながら言う。
「この完璧なベースキャンプが完成した時点で……」
「今日の冒険は、実質成功だ」
もはや何もしていない。
そしていよいよ、本日のメインイベント。
「よし、石窯でピザだ!」
意気揚々と薪を運び、火を起こそうとしたその瞬間――
ボキッ。
「あっ……」
腰に走る激痛。
過去のトラウマが、ここで完全復活する。
「ぐっ……これは……!」
その場で膝をつくパパ。
しかしすぐに思考を切り替える。
「……違う」
「今の俺に必要なのは、“動かない勇気”だ」
苦しい表情のまま、必死に理論武装を始める。
「自然の中で何もしない……それこそが真のサバイバル……!」
そう言いながら、逃げるようにハンモックへ倒れ込む。
だが次の瞬間。
「……あれ?」
体勢が固定され、降りられない。
完全に詰んでいた。
その頃、家族はというと――
「お腹すいたね」
「もう待てないね」
結局、ママがカセットコンロを取り出し、手際よくカップ麺を準備。
湯気の立つ麺をすすりながら、星空を見上げる。
「外で食べると美味しいね」
自然を満喫しているのは、完全に家族のほうだった。
一方その横で、ハンモックに揺られたまま動けないパパ。
「……これこそが……自然との一体化……」
苦しそうに呟く。
「究極の……“無”……」
その目には、うっすらと涙が浮かんでいた。
数日後。
パパはまたしても腰を悪化させ、しばらく安静生活へ。
そしてリビングには、新たに「キャンプ用品の山」が増えるのだった。
「……次は“焚き火の極意”からだな……」
懲りていないパパの挑戦は、まだ終わらない。
【作者コメント】
キャンプは、道具を揃えたり設営を工夫したりする時間も大きな楽しみの一つです。
私自身も、動画や雑誌を見ていると「あれも欲しい」「これも試したい」と思うことがあります。
今回のお父さんも、そんな”キャンプあるある”を少し極端に表現してみました。
本来は自然を楽しみに来たはずなのに、いつの間にかテントの角度や薪の積み方に夢中になり、気づけば一番大切な「家族との時間」を後回しにしてしまう――。
そんな姿は少し滑稽ですが、何かに本気で夢中になる人なら、一度は経験があるかもしれません。
一方で、家族はカップ麺というシンプルな食事でも、「外で食べるだけで美味しいね」と笑顔になります。
豪華な道具や完璧な準備よりも、その場を一緒に楽しむことこそが、アウトドアの一番の魅力なのだと改めて感じます。
『不屈な父親奮闘記』のお父さんは、毎回少し空回りしながらも、本気で家族を楽しませようと挑戦し続けています。
失敗しても立ち上がり、また次の”極意”を探し始める。
そんな少し不器用で前向きなお父さんに、今回もクスッと笑いながら共感していただけたら嬉しいです。
そしてきっと次回も、お父さんは懲りることなく、新しいことに挑戦してくれるはずです。

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